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『医師として知っておくべきマネジメントとリーダーシップの鉄則 24の訓え』

『医師として知っておくべきマネジメントとリーダーシップの鉄則 24の訓え』
Anthony J. Viera and Rob Kramer
綿貫 聡・高尾 義明・錦織 宏 [監訳]

isml

第228回は、2020年の通常業務が始まる前に読みたかった企画の最後になるこちらです。
前々回は「医師個人としての目標を書いた本」
前回は「指導医としての考え方を指南する本」
と位置づけることが出来ますが、今回は「組織やチームを率いる医療職として知っておくべき技術を書いた本」と位置づけることが出来ます。
もともと『Management and Leadership Skills for Medical Faculty』という書籍の和訳版です。
なお、今回の記事はいわゆる「僕自身のアウトプットのための記事」になってしまいますが、ご容赦ください。


簡単な内容紹介
医学の発達とそれにともなう医療の複雑化は、「医者が一人だけで医療を完結できる時代」を過去のものにしました。
様々な専門分野が生まれることで一つの病院内にも数えきれない程の部署が発生し、それぞれの部署ごとに独自の活動をしています。
また、同じ部署内にも多様な職種のスタッフが集まり、医師も指導者役から中間管理職的な立場、新人の立場まで様々な立場の医師が所属することになります。
医師は医学のスペシャリストではありますが、残念ながら組織やチームを運営するスペシャリストとは限りません。
それでも医師は時として様々な背景の人材が集まる組織や部署、チームをまとめて仕事に取りかからなければなりません。
本書はそんな場面で必然的に求められることになるマネジメントやリーダーシップの技術に関して、24の項目にわけて解説している一冊になります。



なぜ、マネジメントやリーダーシップの技術が必要なのでしょうか?
その技術をもって何を成し遂げたいと思っているのでしょうか?
医療業界に限らず、どんな業界でも「マネジメント」や「リーダーシップ」について学びたいと思っている人が最初に問われる命題がこの二つなのではないかと思います。
本書においても最初にこの命題に対する答えを明確にすることが求められます。
ただし、あくまでも医療業界の問題としてこの命題を考えることに本書の意義があります。
医療業界が抱える問題として「コストがかかりすぎている」「医療安全上の問題を完全に0にはできていない」などの課題が挙げられています。
これらの医療業界が抱える課題に対してマネジメントやリーダーシップの技術でどう介入することが出来るのか、まずはここを考えるところに大切な意義があるといえるでしょう。


あまり大袈裟なことを書くつもりはありませんが、例えば「医療の質は日本全国どこでも完全に均一とはいい難い」とか、「若手医師への教育まで十分なリソースをさけていない」等の課題も考えられます。
僕自身はまだまだ下っ端なので今すぐに組織を率いてこれらの課題に取り組むということはしませんが、それでも中間管理職的なポジションになって現場でチームをマネジメントすることはあるかもしれません。
だからこそ、これらの課題に医師が個人で挑むのではなく、チームとして取り組もうとする場合に医師としてどんな技術や能力が求められるのかに興味を持ってきました。
具体的な状況に対する対応のヒントが詰まった方法論的な書物は読んだことがあるのですが、できることなら網羅的に原理原則を示した総論的な書物はないものかと思っていました。
もちろん、一般的なビジネス書の内容をそのまま代用しても良かったのかもしれませんが、医療には医療の問題点や課題があるのではないかと思ってきたのも事実です。


本書はそんな状況にあって、初めて手にすることが出来た医療者にとって必要なマネジメントとリーダーシップについて総論的に書かれた書物ということになります。
必要な技能として「自分自身を成長させ続ける能力」「効果的なコミュニケーション能力」をはじめとして、「マネジメントの原則」や「リーダーシップの取り方」といった内容までを24の章にわけてそれぞれ解説しています。
なかには具体的な時間の管理方法のメソッドや、効率的な会議の進め方など、なかなか知り得なかったテクニック的な内容も盛り込まれています。
これらの内容を踏まえた上で、少しずつでも実践することが出来たなら自分の仕事の仕方だけでなく、チームや組織そのものの仕事の仕方も変えていけるかもしれません。
理論はただ理論としてあるだけでは絵に描いた餅ですので、こちらもまた実践していくことが大事ですね。


ただし、本書はとにかく難しいという難点があります。
難しい理由は二つあって、一つは内容として観念的な部分も多く、その部分で書かれていることの何が大事なのか想像しにくいためです。
こればかりは実際にマネジメントや組織の運営に携わっていないから理解できない僕自身の問題なのかもしれません。
ただし、もう一つの理由は少し困ってしまう理由で、文章が原文の英語をそのまま直訳したような文章で分かりにくいからという理由です。
こればかりはいかんともし難いのですが、本書はあくまでもマネジメントやリーダーシップを学ぶための入口と捉え、さらに正確に知りたければ原文や元になった論文を読むのがよいのかもしれません。
現時点であらゆる人にオススメする書籍ではないかもしれませんが、こういった書籍を切っ掛けに日本でも医療業界におけるマネジメントやリーダーシップについての知識や理論が普及するとよいなと思っています。


というわけで、最後は「僕自身のためのアウトプット」を主目的にした記事になってしまいましたが、これでお正月休み中に読みたかった3冊の紹介は終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
今回の年末年始は同僚が気をつかってくれてまとまったお休みを頂くことが出来ました。
周りへの感謝の気持ちを忘れずに、その恩を返せるような2020年にしたいものです。

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コメント

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No title

アザラシさんはすごく勉強家だなと、あらためて感じたここ数日の本の紹介でした^^
そして真面目に自分の仕事に取り組んでいるんだとしみじみ思いました。
尊敬します。
明日からは通常業務なんでしたよね。頑張って下さい。

わたしも頑張らないとなー^^
まずはダンナさんにおねだりしたので、WindowsPCを買って貰うつもりです。
在宅の仕事をみていると、Windowsでの作業が多いんですよね。わたしが使ってるのはMacなので。。。ダンナさんが業者さんにお手頃なパソコンをお願いするって言ってくれました。

七迦さん

コメントありがとうございます。
僕自身の勉強のために、という趣旨で読んだ3冊の記事でしたが、読んでいただけて嬉しいです。
ちゃんと実践できるように頑張ります。

僕も普段使っているパソコンはMacです。
職場で使うパソコンはWindowsなので統一したほうがいいのかもしれませんが、そのままになってしまっています。
大抵のソフトはどちらのOSでもつかえるので、今のところはそれほど困っていないのですが…。

これは読み応えのありそうな一冊ですね。ドラッカー本と銘打っているだけあって、マネジメントに関する様々なことを凝縮したような本なのかなと想像しながら記事を読ませていただきました。
マネジメントって、難しく考えようと思ったらいくらでも難しく考えれてしまうし、これが絶対正しいというような絶対解は無いことが多くて、いかに関わる人たちが共感できる納得解を導き出せるかにかかっていると感じています。だから本に書いてあることも抽象的に成らざるを得ないのかなぁと。ちなみにドラッカーのマネジメントもやっぱり難解で、私は途中で挫折してしまったのですが、あれは読破する様なものでは無くて悩んだ時にヒントを探す様に読むものだなと後から思い直して自分への言い訳にしています。
今年のアザラシさんのお正月は、とても充実した読正月だったんですね^ ^

MunehitoKiriさん

とても読み応えがありました!
記事の中でも少し触れましたが、やはり難解で……。

Munehitoさんが指摘されるように、どうしても抽象的で、具体的なイメージと結びつかないので難しいと感じるのですよね。
ただし、具体的な例を出しても逆に他の状況では適応できないかもしれませんし。
コメントに頂いたように、「悩んだ時にヒントを探す様に読む」のが良いのかもしれませんね。

お正月は例年以上にまとまったお休みを頂いてしまいました。
その分、きっちりと仕事をしなければなりません。