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『タルト・タタンの夢』

『タルト・タタンの夢』近藤 史恵第267回の今回は、ビストロ・パ・マル シリーズとして下町の小さなフレンチ・レストランを舞台にした日常ミステリ短編集の第1集だったこちらになります。本ブログでは以前『マカロンはマカロン』をご紹介しましたが、本当はこちらが一番最初だったのですね……。ビストロ・パ・マル シリーズは本作の後『ヴァン・ショーをあなたに』へと続いていきます。気取りすぎないフレンチレストランのように...

『トラペジウム』

『トラペジウム』高山 一実第266回は現役トップアイドルが書いた小説として一躍有名になり、「平成世代が買った本1位」にもなったこちらです。そもそもが「演劇に関連した物語が読みたい」と中学一年生の長女からリクエストされて手に取ったので「平成世代に買った本」としては間違いではなかったでしょう。とはいえ「演劇に関連した物語」として適切だったかどうかは非常に疑問です。ま、まぁアイドルもドラマや映画に出演します...

『医師の感情:「平静の心」がゆれる時』

『医師の感情:「平静の心」がゆれる時』Danielle Ofri翻訳:堀内 志奈第265回の今回は、タイトル通り医師の感情について描いたこちらになります。現役医師であるOfri先生だけでなく、様々な医師の仕事を通して医師が直面するであろう感情の動きについて描写した一冊です。医学的知識をもとに感情に流されることなく仕事をこなしているように見える医師も、実は内面に生じる様々な感情に揺さぶられているというのが非常によくわか...

『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』

『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』前川 ほまれ第265回は、以前の記事のコメント欄で七迦寧巴さんにご紹介いただいたこちらになります。特殊清掃という孤立死や殺人、自殺といった、誰にも看取られずに亡くなった死の現場を清掃する仕事がテーマとなった小説です。無縁社会と呼ばれる現代の日本で孤立死は年間32,000件も発生しているといわれており、遠い別世界の事象というわけではありません。そんな現代社会の課題...

『少年と犬』

『少年と犬』馳 星周第263回の今回は第163回直木賞受賞作のこちらです。『少年と犬』というタイトルといえばハーラン・エリスン。ディストピアな世界を舞台にしたヴィク少年と犬のブラッドのコミカルながらもリズム感のあるやりとりが魅力な短編SF作品です。しかし、本作は一切関係ありません。「少年は犬を愛するもの」といいますが、なぜ犬を愛するのか?そんな本質に迫る一冊です。簡単なあらすじ2011年3月11日 14時46分18秒。...

『マカロンはマカロン』

『マカロンはマカロン』近藤 史恵第262回の今回は、アザラシの大好物「マカロン」がタイトルに入ったこちらです。本書はビストロ・パ・マル シリーズとして下町の小さなフレンチ・レストランを舞台にした日常ミステリ短編集の3冊目にあたります。すでに『タルト・タタンの夢』『ヴァン・ショーをあなたに』が刊行されているわけですが、アザラシはいきなり3作目のこちらから入ってしまいました。ただ、それぞれの短編は独立してい...

『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』

『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』ヒロシ第261回の今回は、『ひとりで生きていく』『働き方 1.9 君も好きなことだけして生きていける』を紹介したヒロシさんの最新作であるこちらです。ソロキャンプの動画をYoutubeにアップし、絶大な支持を得たヒロシさんが、満を辞して自身のソロキャンプをテーマに書いた一冊です。ヒロシさんが使っているキャンプギアの紹介から、火起しのテクニック、Youtube動画撮...

『君と夏が、鉄塔の上』

『君と夏が、鉄塔の上』賽助暑い日々が続きますね。暑いのが苦手なアザラシはクーラーの効いた部屋でずっとぐったりしています。というわけで、第260回の今回はあまり肩肘張らずに、比較的気楽なノリで記事を書かせていただこうとお思います。「やるぞ!」と気合を入れようとするとどうしても筆が進まないもので……。簡単なあらすじ中学三年生の伊達はクラスの中でも地味な存在ですが、「鉄塔マニア」という隠れた嗜好を持っていま...

『項羽と劉邦』

『項羽と劉邦』司馬 遼太郎あっという間に8月になりましたね。第259回目の今回は、中国史における楚漢の天下争いを描いた歴史小説であるこちらをご紹介します。中国全土をめぐる壮大な大河ドラマであり、多数の登場人物たちの人となりをつぶさに描き、同時に中国史における思想の歴史を考察する大作です。そして何より、項羽と劉邦という非常に対象的な2人のリーダーをして、人を惹きつける「人望」とは何かを真正面から描いた作品...

『52ヘルツのクジラたち』

『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ第258回目の今回は、町田そのこ先生が描く孤独の中で愛を求める魂の物語をご紹介します。町田そのこ先生の作品といえば以前短編集である『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』をご紹介しました。以前、町田先生の作品を「登場人物達の儚いようで凛とした力強さと、それによって生まれる前向きになれるラストが、読者自身も背中を押してもらえたような読後感を残してくれる」などとしたり顔で表現...